2.海を越え、北の大地へ

2002年7月20日

雨はどんどん強くなり、豪雨といってもいい状態になる。
前を見ても後ろを見ても、走っている車は私たちだけ。
なのは寝息をたてており、叱られたゴンはしゅんとしておとなしくしている。
まるで、ホラー映画のオープニングのような感じ。

東北自動車道から、第2みちのく高速道に入ると、片側一車線になる。
まだ出来立てほやほやの道。
なので、まだ登録されていないらしく、カーナビにしきりにUターンを奨められる(^_^;)

仕方ない、終点で高速を降りるとき、料金所のおじさんに推奨ルートを聞く。
みんな、同じことを聞くとみえて、わざわざ地図をコピーしたものが用意されていた。

「すごい雨だから、気をつけて」

おじさんのこの言葉に送られて再び走り出す。
やはり、ゴンは嵐を呼ぶ犬か?

処は青森県三沢、時は深夜2時。
時折道に迷いつつも、我々は北を目指す。

三沢~六が所村と走ったところで、「恐山」の看板を見る。
あたりは少しずつ明るくなってきている。
雨がやんだのではなく、明け方が近くなったらしい。
4時だ。フェリーの時間は11時半。
このまま走れば、かなり早くついてしまう。
「恐山見てく?」と旦那。
「フェリー乗り場で、ちょっと寝たら?」
「どーせ、またゴンが暴れるって」 旦那、まだかなりむかついている。
「ん~。今から恐山・・・この夜明けで雨って、ちょっと不気味でやだなあ・・・」
「じゃ、フェリー、もう一本早いのは、どうかな?」

思い立って電話。ひょっとすると、この雨で欠航かもしれないし。
でも、受付のお兄さんは明るい声で、
「ぜんぜんあいてますから、大丈夫ですよ~」と請け負ってくれた。
俄然、走る気が出る。時間はとっとこ走ってちょうどという程度。
夜が明けたのも相まって、快調に車は走る。

6時。青森県大間港に到着。
受付を済ませて、車をフェリーに積み込む。
その際、ペットは車中に残すこと、
また、なにかあった際の責任などの誓約書にサインを求められる。
フェリーの車両甲板は、およそ3/4の入り。
早朝のわりに、思ったより人が多い。祝日だからか?

北海道3

ここで、ゴンとしばしのお別れ。
他の人に迷惑をかけてはいけないので、ペットは車中に残していかなくてはならない。
また、事故など避難の際困るので、乗客は車に残ってはいけない。
なのでゴンは独りでお留守番。可哀想で仕方ないけれど、我慢する。
ゴン、私も我慢するからね、あんたもがんばるのよ!!

当然エンジンを切らなければいけないので、窓を少しだけ開けておく。
水とおやつの豚耳を用意して、心を鬼にして、車を後にした。

東日本フェリー。青森-大間間のフェリー「ばあゆ」。
インド神話の風の神様の名前らしい。
そのせいか、雨はひどいが風はない。なので出航できたのだろう。
一時間半の船旅なので、いちばん安い2等客室にする。
と、カーペットの上に思い思いに雑魚寝、ごろ寝。
ゴンのため、ぎりぎりまで車にいた私たち、
スペースをとり損ねて、はじっこで、ちっちゃくなっていた。
6時半、出航。

北海道2

雨のせいで、あっという間に岸が見えなくなる。
白い霧、白っぽい海。雲の中を漂うような、なんだか幻想的な風景。
でも、船が「ゴゴゴ」と音を立てるたび
「ゴンはどれだけ怖がっているか」と心を痛めていた私。犬バカ(笑)

何事もなく、北海道の岸壁が見えてきた。
曇天、灰色の、荒涼とした風景。「さすが北国」などと変な感想を抱く。
車に戻ってゴンと再開。喜び方が尋常ではなかった。
よほど怖かったらしい。
おやつの豚耳にも手をつけていなかった。可哀想に。

8時10分、函館着。
昔から大ファンだった発酵バターの製作地、
トラピスト修道院が近くにあるので、とりあえず向かってみる。
バターを購入して、キャンプでのバーベキューに使ってやるのじゃ~! 
ふっふっふっ。

でも。
訪れた修道院は、閑静で、静謐で、並木が美しい、絵のような所でした。
美しい木立の向こうが白い霧で覆われ、夢のような景色。
雨でよかった、とかえって思ったくらいでした。

北海道4

次に、旦那のリクエスト、駅弁ナンバー1の売り上げを誇る、
「森駅のいかめし」を購入するため、森へ。
手のひらサイズのイカに、炊き込みご飯を詰め込んで、甘辛く煮付けたもの。
とっても美味しいです。

函館~大沼~森と、噴火湾に沿ってぐるっと回るように走る。
雨のため、相変わらず見通しは悪いが、
雨煙の中、ぼんやりと、牧場だの、海だのが見える。
それ以外は、あまり北海道という実感がわいてこない。

いかめしをお昼代わりにして、さすがに疲れたので、
早めに宿に入ろうという結論になった。
今日だけは、一日走り詰めだろうからと、
キャンプではなく宿を取ってあったのだ。ふふふ、タマ賢い。
「ペンション マウント・メリー」はニセコにある犬専門のお宿。
犬を連れないお客はお断り、という剛毅な宿です。しかも館内ノーリードオッケー!!!

北海道6

2時のチェックインより少し早めについたので、
3件隣のイタリアンレストラン「ZAGPAG」へ。
ここは、テラス席一席のみ、犬連れ専用になっています。
ほんとは子供お断りなのですが、テラス席だということで入れてもらえました。
ゴンのおかげ!!

北海道5

ピザとポモドーロを頼んで、昼間っからビールで乾杯。
ここのピザは、生地が薄く手作りでかりかり、
ポモドーロもトマトソースが手作りの味で、すごく美味しかったです!!!

その後、ペンションへチェックイン。
犬好きのオーナーと奥様、それに看板犬のチャコに挨拶して、山小屋風の部屋へ。
清潔なベッド。奥様手作りのリースやポプリの溢れたいい匂いのする館内。
自由に走り回るたくさんの犬たちに、美味しいフランス料理のフルコース!!!
リピーターが多いというのも、うなずける宿でした。

北海道7

食後、さすがに旦那は轟沈。
私はなのとゴンを連れて、他のお客様たちとロビーで団らん。
6回も来ているという強者のお客様もいらっしゃって、すごく楽しかったです。

土曜、しかも祝日だけあって、けっこう他にもいろんなお客様が。
覚えているだけでも、フレンチブルのベティ、ラブのいちご、チワワの美弥、
あと、名前はお聞きしなかったのですが、
マルチーズが2匹、ビーグルが1匹、シェルティが1匹でした。

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